あなたのお財布の10円玉。つくりたてほやほやだとピカピカですが、大抵くすんだ茶色ですよね。最近は錆びにくいステンレスやアルミなどが広がってきましたが、金属につきものなのが「さび」。
そんな錆びを防ぐ技術として最近注目を集めている、「ガラス塗料」についてご紹介します。
目次
1.金属が錆びるワケ
そもそもなぜ金属は錆びるのでしょうか。
それは、金属が単体でいる状態は自由電子(反応するエネルギーのようなもの)を持っていて、とても不安定な状態だから。
水や酸素、他の金属などと触れると、反応して安定な状態(=金属酸化物)になります。これが「さび」です。
反応性の高さは金属により異なるので、錆びやすさも金属により異なります。
反応性の高さを並べたのが高校でも習う「イオン化傾向」です。
(「貸そうかな、まぁあてにすんなひどすぎる借金」のゴロ合わせで覚えたアレです。)
イオン化傾向が大きい程、反応性が高い=錆びやすいということになります。
イオン化列
銅(Cu)は金(Au)よりもイオン化列が大きいので、銅の方が錆びやすいということになります。
つまり金は、どの金属よりも錆びにくいのです。だから金のアクセサリーは錆びないし、金塊は変質しにくいので、重宝されるわけです。
2.錆びにくい金属
前述したように、錆びやすさは金属によって異なります。
前項のイオン化列を元に見ると、アルミニウム(Al)は銅(Cu)よりもイオン化傾向が大きいので、反応性が高い。つまり錆びやすいのでは、と思うかもしれません。
でも、実際にはアルミは錆びにくい金属。錆びた1円玉って、見たことないですよね?
何故かというと、アルミは表面に薄い「安定した酸化被膜」を形成しているから。
被膜により表面が安定した状態になるので、それ以上反応が進まないため、金属を腐食するような”錆び”は発生しないのです。
実はステンレスも同様の原理。
ステンレスは鉄にクロムやニッケルを加えた合金ですが、クロムもち密な酸化被膜(不動態被膜)を形成するため、安定な状態を保ちます。
そう、つまりこの「安定した酸化被膜」がさびを防ぐキモになります。
出典)ベンカンHP 『アルミニウムとは…』
3.超安定した酸化物である『ガラス』
私たちの身近にもある「ガラス」ですが、この主成分は「二酸化ケイ素(SiO2)」という「酸化物」です。
出典)AliExpress 『フラスコ』
この酸化物はエネルギー的に安定しているため、ガラス自体が反応することはめったにありません。なので、化学実験のフラスコやビーカーにも使われています。
みなさんも、窓ガラスが錆びたり変質しているところは見たことないですよね。
出典)sanctuaryHP 『ガラスフィルム』
つまり、この超安定な「ガラスの被膜」を人工的に作ってしまえば、「半永久的に錆びない」ということになります。
とは言っても、ガラスの被膜なんてどうやって作るのか…?
その方法の一つがクリスタルプロセス社の「無機質ガラス塗料」です。
4.無機質ガラス塗料
クリスタルプロセス社のガラスコーティング塗料の特徴を説明します。
※(株)クリスタルプロセス サイト上に掲載されているコート材は自動車用用途ですが、以下紹介するものは工業用となります。
購入する際には(株)クリスタルプロセス本社にお問い合わせ下さい。
錆びない被膜を形成する
下の写真はガラスコーティングを施していない面(左半面)と施した面(右半面)に塩水をかけたものですが、その差は一目瞭然。なお、2年間屋外暴露をしても劣化が見られなかったそうです。
出典)幕張メッセ 高機能素材Week クリスタルプロセス社ブース展示 (2018.11)
下の画像の「さびない」の文字も、文字の部分にガラスコーティングを施しています。
出典)幕張メッセ 高機能素材Week クリスタルプロセス社ブース展示 (2018.11)
ガラスに着色塗装できる
意外と目を引くのが「ガラス塗装」。ガラスを含む塗料なので、もちろんガラスとも親和性が高く、ガラスにも塗装することができます。
下の写真はガラスに塗装したもので、文字の部分をマスキングして塗装することで「透明な文字」の仕様も可能に。こんなおしゃれな看板も塗装で手軽にできちゃいます。
出典)幕張メッセ 高機能素材Week クリスタルプロセス社ブース展示 (2018.11)
「ガラス塗料なのに透明じゃないの?」と思うかもしれませんが、無機質ガラス塗料の中に、顔料をナノ分散させることで着色を可能にしています。透明性を維持した「透け感」のある塗装だけでなく、不透明な塗装も可能です。
高い耐候性
無機質被膜は紫外線や酸性雨などの影響を受けないため、野外でも酸化劣化しません。そのため、外壁の防汚性・防水性の向上やチョーキング防止の用途があります。
1年間屋外に暴露した耐候促進試験でも、色目の変化はほとんどありません。
撥水性・光沢を付与
クルマのボデーに塗布すれば、撥水性を付与でき、光沢を出すことができます。
下の写真の右半分にコーティングを施していますが、その違いは瞭然。
ハイテクX1ボディーコート剤-8500であれば、1度塗れば5年も効果が維持できるとのこと!
出典)株式会社クリスタルプロセスHP 『ガラスコーティング ハイテクX1ボディーコート剤-8500』
4.ガラス塗料の施工方法
スタンダードな施工方法はスプレーガンによる吹付塗装。
出典)Weblio辞書 『スプレー塗装』
浸漬施工や塗りこみでのコーティングも可能で、目的や用途による使い分けが可能です。
プライマー不要
通常、塗膜をきちんと密着させるには、「プライマー」という下地が必要です。メイクで言う「化粧下地」のようなものです。
でもこの塗料はそのプライマーが不要で、しかも1液性なので、面倒な混合処理もいりません。
ただし、上に塗料を重ねて塗ることはできないため、最終コートに使用する必要があります。
常温乾燥でOK
熱硬化型ではないため、常温乾燥でOK。大がかりな乾燥設備が不要になります。
被膜形成反応のため、完全硬化までは1週間かかってしまうそうですが、温湿度コントロールにより多少調整は可能なようです。
※(株)クリスタルプロセス サイト上に掲載されているコート材は自動車用用途ですが、今回紹介したものは工業用となります。
購入する際には(株)クリスタルプロセス本社にお問い合わせ下さい。
参考サイト
・日新産工株式会社「鉄が錆びる原因やメカニズムは?錆の防止方法も解説!
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