名古屋大学 宇治原研究室, UJ-Crystal(株)
”パワー半導体”というとSi(シリコン)を思い浮かべる方が多いかと思いますが、今注目され、実用化も進んでいるのがSiC(シリコンカーバイド)。
2014年にはSiCパワー半導体を実装したインバーター搭載の鉄道車両が、従来比約40%減 という高い省エネ効果を記録し、今後は鉄道だけでなくさまざまな機器にSiCパワー半導体が用いられることが期待されています。
ですがこのSiC、現在は海外メーカーの独占市場となっており、その品質も不安定なため、コスト面がネックとなっていました。
そんなSiCの製造法を、今主流となっている方法から根本的に変えることで高品質・低コスト化を実現した製造技術のご紹介です。
実用的に使えるような大口径化するとなると、制御パラメータが多く、実験的に模索すると膨大な時間と費用が必要となってしまいます。
そこで研究チームはAI技術を応用したプロセスインフォマティクスを活用。
デジタルツインにより、コンピュータ内に実際の結晶成長を疑似的に実現する装置を構築して、数百万回レベルの試行をコンピュータ上で実施。
遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法を用いることで、探索を進めた結果、たった約1年の速さで6インチのSiC結晶の実現に至ったとのこと。
名古屋大学の宇治原先生はこのSiC製造を事業化するためにUJ-Crystal社を立ち上げ、現在協業など積極的に行われています。