(文・写真:元田 愛実)
「自分はプレゼンが得意です」
そう言い切る人は、いったいどれほど居るでしょうか。
ビジネスパーソンとは切っても切り離せないプレゼンテーション。
場合によっては仕事の評価にも直結する「道具」なのに、苦手意識を持つ人も多いはず。
そんな中、一瞬で場の空気を自分のものとし、笑いをとり、嵐のように去っていく…
そんな「すごい人」も世の中には居ます。
そんなすごい人のひとりである、Twilioエバンジェリストの高橋さんにお話をお伺いしました。
プロフィール
![](https://kizclue.com/wp-content/uploads/2020/03/DSC05912-1024x682.jpg)
高橋 克己(たかはし かつみ)さん
株式会社 KDDIウェブコミュニケーションズ
コミュニケーションビジネス本部 twilio事業部 マーケティングユニット
Twilio エバンジェリストとして活躍中
※エバンジェリストとは?
IT業界で近年注目を集めている新しい職種。最新のテクノロジーを大衆に分かりやすく解説したり、啓蒙する役割を担う人。エバンジェリストの活動に注目するようになった企業も増加傾向にあり、ポストを新設し、適した人材を配置する企業も見られるようになってきました。
(参考:カオナビ 『【IT業界の新職種】エバンジェリストとは? 仕事内容・役割・必要なスキルまとめ』)
マインドセット:場の空気は自分が創るもの
―(元田)ONE JAPAN Tokaiでのプレゼンをお聞きしましたが、圧倒されました。笑 一体どうやったらそんなプレゼンができるのでしょうか。
(高橋さん)ぜーんぜん。僕って超人見知りだし(笑)
―ご冗談を。笑 いつからそうなられたんですか?
リアルな話すると、実は10年以上、企業向け講習の講師やってたんだよね。
やっぱ場数が大事だよ。
―なるほど。 私も最近登壇する機会を貰ったりするのですが、会場の静まり返った空気がどうも苦手で…。場数を踏むのも、正直しんどいです。
自分が楽しんじゃえばいいんだよ。それが伝わって、会場全体も楽しい雰囲気になるから。
逆に、発表する側が緊張してると、それが観客にも伝わって、ピリピリしちゃう。空気ってそんなもんなんだよ。
―確かに、高橋さんはすごく楽しそうでした。(笑) 観客どうこうによらず、高橋さんが盛り上がってるから、空気もすごい楽しい印象でした。
それにしても、お話の仕方もすごくお上手ですよね。何かでお勉強なさったんですか?
特別なことはしてないけど、落語やお笑いを聞いたりはよくするかな。好きなんだよね。話し方も、すごい勉強になるよ。
テクニック:高橋さんのプレゼンの特徴
ONE JAPAN Tokaiの高橋さんのプレゼンをお聞きして、私が感じた「すごいプレゼンの特徴」を以下に挙げます。
1、 伝えたいことはしっかり強調する
![](https://kizclue.com/wp-content/uploads/2020/03/DSC05913-1024x682.jpg)
「twilioのlは一個ね!今日はそれだけ覚えて貰えたらおっけー!」
プレゼンテーションの語源は「贈りものをすること」。
つまり、「相手の心に何かを届けるためにすること」に尽きます。
自分はこのプレゼンで、何を一番伝えたいか?最低限、何を覚えて欲しいか?
それをしっかり強調し、場合によってはくどい程繰り返す必要があります。
逆に言うと、それくらいしないと聴衆は5秒後には忘れてしまうでしょう。
2、 笑いを挟む
「電話を引く手順って知ってる!?電話でやんなきゃいけないんだよ!?電話がないから契約すんのにw
些細なようで、聴衆の満足感にはかなり大事だと思います。
なぜかというと、「人は話を一方的に聴くのは苦痛で仕方がない」から。
巷に数多ある会話術の本で共通して書いてあるのが
「一方的に話すな。相手に8割話させろ」
ですよね。これはもうもはや常識。
人間は自分が話したい生き物。
ずーーっとおあずけ食らうなんて、イライラして仕方ないんです。
(私もしゃべりがちなので、気をつけないとといつも反省しますが…笑)
でもプレゼンっての世界ではこれが成立しない。
お行儀よく座って、ずーっと聴くことを強制されます。
当たり前ですが、聞く側はしんどくなりますよね。
そんな中、相手に「笑う」というアクションを許すのは、聴衆への最大の配慮・敬意だと言えます。
笑いが起これば、空気もあたたまりますしね。自分の緊張も解けて一石二鳥。
ONE JAPAN Tokaiでは、吉本興業の方もスポンサー企業としてご登壇なさいましたが
「今日のプレゼンの資料は3枚しかありません。なので、今日はこのスライド(タイトルの表紙)で3分しゃべります」
と冒頭から爆笑をかっさらい、その後も笑いを挟んで流石のプレゼン。
ご登壇なさったのは芸人さんではなく、プロジェクトのチーフマネージャーさんでしたが、吉本は働いている人みんな面白いんだなぁと感じた瞬間でした。笑
(もちろん、全員では無いでしょうから、偏見はいけませんが。)
3、 細かいことは話さない
これ結構大事だと思います。情報量が多くても、結局頭に入りません。
細かいことは、後でウェブサイトで調べればいいし、質問すればいい。何なら、キーワードだけ散りばめてフックをつくれば、その後の質問が出るきっかけになります。
ここで大事なのは、「質問の受け方・質問の仕方」。
質問を受ける側は「さっきも言いましたが」などは絶対言ってはだめ。
これ、言われると結構へこむし、「えっやば、次何聞けばミスしないかな…汗 もう聞くのやめとこう…」となり、とても勿体ない。
「聞いてる側はせいぜい1割程度しか理解していない」という前提で話し、質問を受けるべきです。
また、質問する側の姿勢としても大事なのが、「質問はあくまで教えてもらうためにする」こと。
たまに、討論したいがための質問や、相手の矛盾をつきたいだけの質問、攻撃するための質問をする人に出会いますが、これをされてしまうと、
「次は突っ込まれないようにこれもあれも話して… あ、これは不確定だから話すのやめよう。」という具合になり、
プレゼンがやたら長く、つまらないものになります。
ファシリテーターがお互いのルールづくりをしてあげることも、大事かもしれませんね。
さいごに
頭では分かっていても、なかなか難しいプレゼンテーション。
トークは生ものなので、ある意味仕方がないのかもしれません。
でもそれを克服すれば、今後の人生の助けとなることは、言うまでもありません。
私自身も、克服できるようがんばろうと思います。
コメント