カーボンナノチューブについて
原子レベルでストロー状の構造を持つ「カーボンナノチューブ」。軽量、高強度かつ高伝導率・高熱伝導率などの優れた特長を持ちます。
近年は画期的な生産プロセスも確立され、量産も可能となりました。
そんな夢の新素材であるカーボンナノチューブの用途の一例を紹介します。
※参考
・ナノチューブ実用化研究センターHP スーパーグロース法とは
・NEDO実用化ドキュメント 驚異の新素材、単層カーボンナノチューブ
世界初の量産工場が稼働
少量で導電性を付与
一般的なカーボンも導電性はありますが、カーボンナノチューブの導電性は極めて高く、ごくわずかな添加量でも導電性を付与することができます。
そんな特性を活用した製品ラインナップを展開するのがTUBALL。
ごく微量でも導電性を発揮できるのは、分散技術の革新によります。
一般的なカーボンブラックなどの材料は粒子状に偏ってしまいますが、TUBALLのカーボンナノチューブはTOP画像に示すように極めて均一に分散し、ネットワークを形成します。
少量で導電性を付与できることにより、「色目を変えずに」導電性を付与することができます。
TOP画像の緑の板はカーボンナノチューブを添加したものですが、添加量を0.1~0.01%のように極めて少なくできることにより、「明るい色」の塗装も可能となります。
また、極めて均一に分散できるため、場所による偏りもなく、均一な導電性を実現できます。
期待できる用途
※これは筆者自身が期待した活用案であり、メーカーが実現を保証するものではありません。
用途として期待できるのが「静電塗装用塗料」。
※静電塗装とは
アースした被塗物を正極、塗料噴霧装置を負極とし、 直接高電圧をかけて両極間に静電界をつくり、塗料微粒子を 負に帯電させて、塗装する方法です。
静電塗装は、帯電した塗料を電気力線に沿って飛行し、 正極の被塗物に塗着するため塗料ミストの飛散が少なく 塗料が節減できる大量生産に向いた塗装方法です。
そんな静電塗装では下地に導電性を持たせる必要があるため、導電性のあるプライマー(導電プライマー)が使用されますが、その材料には制限があるため、白や黒など色目は限定的です。
そこでこのカーボンナノチューブを添加すれば、どんな色のプライマーでも導電プライマーに変化する※ため、意匠性を上げることができます。
※ただし分散性は溶媒種に左右されます。エポキシやウレタンなどの極性溶媒ではなじみやすいですが、オレフィンやパラフィンなどにはあまり相性がよくありません。
さいごに
夢の材料であるカーボンナノチューブ。量産の課題が解決されつつある今、その活用方法に期待が寄せられます。
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